ぐんまマラソンから2日後。
本当は、続100名城に登録されている名胡桃城と沼田城を訪問する予定でした。
ですが、名胡桃城はクマ出没により閉鎖。
沼田城は閉鎖にはなっていませんでしたが、沼田市内で男性がクマに襲われたというニュースがあり、安全を期して城訪問を見送りました。
(ちなみに、沼田城の最寄り駅である沼田駅で、男性がクマに襲われるというニュースが最近ありました。もうマジで怖すぎるんですけど。)
今までも、特に山城では「クマ出没注意」の看板を見かけることは多く、そのため、常に熊鈴を旅行ザックに常備してはいましたが、昨今のクマ、絶対あんな可愛いチリンチリンした音色じゃ逃げないでしょ・・・
まさか、クマのおかげで長年続けているお城巡りをキャンセルすることになろうとは・・・
ということで、行先を変えて訪れたのは古墳です。
結局、選んだ先も歴史遺産。
群馬の名物は、織物と温泉とぐんまちゃんだけではありません。
何と、国宝・国指定重要文化財に指定されている埴輪のうち、40%が群馬県から出土しているという埴輪王国。それが群馬。

前橋駅にも埴輪がいます。
今回訪れたのは上毛野(かみつけの)はにわの里公園。
保渡田古墳群を中心に、博物館や文学館などが併設されており古墳時代を味わえるスポットです。
上毛野はにわの里公園へのアクセス
JR高崎駅およびJR前橋駅からバスで行くことができます。
いずれも所要時間は30分程度。
一番の最寄りバス停は博物館前にある「かみつけの里博物館前」ですが、その他「井出町西」や「秋葉前」も徒歩圏内のバス停です。
行きは前橋駅から「かみつけの里博物館前」までのバスに乗り、帰りは「井手西」バス停から高崎駅行きの市内循環バス「ぐるりん」に乗りました。


私しか乗客がおらず、バスという名のほぼタクシーでした。
循環バスは運賃たった200円。安すぎて申し訳なくなる。
高崎市の公式サイトに、アクセス方法が載っているので詳細はそちらをご確認ください。
かみつけの里博物館
まずは、公園に隣接されている博物館でお勉強。

バス停下りたら、すぐ埴輪。


博物館入口付近にも埴輪。

博物館の中に入っても埴輪。
蝶ネクタイ、可愛い。
右2体が、どうしても目玉から血を流しているように見えてしまう・・・

トイレにも埴輪。

中庭にも埴輪。
とにもかくにも埴輪づくしです。
はにわの里公園にある保渡田古墳群は、5世紀後半から6世紀初頭にかけて造られた3基の前方後円墳の総称です。


古い順から、二子山古墳、八幡塚古墳、薬師塚古墳となっており、うち二子山古墳と八幡塚古墳が復元整備されています。

博物館は、こちらの一部屋のみ。
ですが、展示されている資料が豊富で、それらを色々読み込んでいたら40分ぐらい滞在していました。

上空から眺めた古墳復元模型。
大型前方後円墳があるということは、そこに有力な権力者がいたという証でもあります。
具体的に誰の王墓か、ということは判明していませんが、当時この上毛野地域を支配していた有力豪族の墓と考えられています。

古墳群以外にも、王が政治や祭祀を行った館跡である三ツ寺Ⅰ遺跡も発掘されています。
(写真は、その復元模型)

右下に「王が食べた果実」って書いてあるんですけど、何で王が食べたって分かるんでしょうか。
誰にも取られないように、皮に「王」とか書いてたんかな?(この時代、文字はありません。)

八幡塚古墳を築造している風景の模型。
こういう模型、大好き。

高い所から眺めて、全体のバランスを見ていた(であろう)指導者の人。

埴輪づくり担当の人たち。

石棺を運ぶ人たち。
上に乗って指揮している人が降りれば、60キロぐらいは軽くなるのに。

一人一人の細かい動き(静止しているけど。)が再現されていて、「この人何してるんだろー」と見ていくのが凄く面白かったです。
続いては、怒涛の埴輪コーナー。


中央右側の人、確実にふんどし巻いてますよね。
あるいは、お釜履いてるか。

埴輪と言えば、はに丸くん。
はに丸くんと言えば、いつも一緒のお馬のひんべえ。

盾持ち人埴輪。
正直結構不気味であったりもする。
説明書きにも「異様な顔つきが多く、魔よけの埴輪であったと推定される」とありました。なーるほど。
博物館で知識を得た後は、実際に外に出てフィールドワークです。
八幡塚古墳
まずは八幡塚古墳へ。

5世紀後半に築造された前方後円墳で、調査に基づき当時の形に復元されています。
墓域の全長は190m。墳丘全長は96m。墳丘推定高は8mの古墳です。
ちなみに、日本最大の大仙陵古墳は全長約486m。
このサイズ差が、当時の天皇(大仙陵古墳が仁徳天皇陵とされているのは、あくまで推定ですが)と地域の豪族の身分差を表していると言えるのかもしれません。知らんけど。


目から血を流しながら、古墳を守る盾持ち人埴輪。
休んだ方がいいよ、君。

怖い顔は魔よけの埴輪。顔を見ただけで分かるようになりました。


周囲には外堤が築かれており、周囲には外堀があります。
お城みたい。

八幡塚古墳の特徴が、この人物・動物埴輪を並べた区間。
内堤の上に、円筒埴輪で区画を設け、54体ほどの埴輪が置かれていたそうです。
出土埴輪のうち、半分は失われてしまったそうで、現在の埴輪たちは当時の資料やその後の出土資料から推定復元したものだそう。
なお、ブツブツ恐怖症としては一番左後ろの馬?鹿?の斑点が気持ち悪くて仕方ありません。


埴輪の井戸端会議。

墳丘には、榛名山東南麓の川から採取された石により「葺石」がされていました。

とりあえず、墳丘をぐるっと一周。

前方後円墳の周囲、堀の中には丸型の島(中島)が4つ造られていました。
古墳の被葬者に対する葬祭儀礼が行われていた場所と考えられています。

復元古墳のいい所は、実際に上れるというところ。

当時はなかったであろう、上りやすい階段もついています。

後円の方に行ってみる。

北側には、榛名山や赤城山。

・・・う~ん?

西側には浅間山や妙義山。
う~ん・・・
素人が遠目で山を見分けるのは、難しいです。

唯一、確実に分かるのは、向こうに見えているのはもう一つの復元古墳である二子山古墳であるということ。

「後円」から見る「前方」の部分。

後円部分の内部には、王が眠る巨大な舟形石棺がありました。
展示室として、こちらも復元されています。

見た瞬間
でっかい和式トイレみたい。
って思っちゃいました。
罰当たりですいません。

ちなみに、こちらの石棺は盗掘されていたため詳細な埋葬人数は分からないそうです。
私よりも罰当たりなやつ、いたわ。



魔よけ埴輪に見送られ、もう一つの復元古墳である二子山古墳へ。
二子山古墳

二子山古墳は、保渡田古墳群の中で一番初めに造られた古墳です。
墓域の全長は213m、墳丘全長は108m、墳丘推定高は9~10mと、八幡塚古墳よりも大きいです。

先ほどの八幡塚古墳と同様、こちらも斜面に葺石が積まれていましたが、現在は墳丘保護のため、コグマ笹が植えられています。
発掘前の墳丘の形状をなるべく変えない手法で整備されており、石で覆われた古墳が次第に草木に覆われ今のような姿になった、という時の流れを体感してほしいそうです。
(説明書きに書いてあった)
周囲にはコスモスも咲いていて、より自然味溢れる古墳となっています。

秋、ですねー(もう終わったけど。)

周辺にベンチがあったので、古墳&コスモスビューの中、持ってきていたパンでランチタイム。
隣の広場で子供たちが遊ぶ声を聞きながら、オーバーツーリズムとは無縁の名所で過ごす午後。
気温も過ごしやすく、とっても快適。
欲を言えば、もう少し空がすっきり晴れていればねー。


こちらの古墳も上に上がることができます。
大仙陵古墳などを見ているせいで、古墳=お墓=立ち入り禁止と思いがちですが、飛鳥の石舞台古墳も自由に入れたし、案外入れる古墳って沢山あるのかも。

二子山古墳の後円部分、1メートル地中には実物の石棺が保存されています。
実物は見ることができないので、頂上部に実物大の石棺写真が設置してありました。


「後円」から見た「前方」(これ、古墳散策の必須項目)


二子山古墳にも、周囲の堀の中に4つの丸い島が造られていました。

二子山古墳から見る八幡塚古墳。


お城訪問に行けなかったがゆえに、当初の予定を変更して訪れた場所でしたが、博物館の展示や復元古墳が非常に面白く、十二分に楽しめました。
あまり今まで史跡訪問して来なかったけれど、古墳時代もおもろいなー。
利用案内(かみつけの里博物館)
- 開館時間:9:30~17:00
- 休館日:火曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)、祝日の翌日(翌日が土日の場合は開館)、年末年始(12/28~1/4)
- 入館料:一般200円 高校生・大学生100円 65歳以上・中学生以下無料