今回は、東京湾に浮かぶ初代南極観測船「宗谷」のご紹介です。

元々、船の科学館という施設の一部として展示公開されていた施設ですが、建物の老朽化のため現在は科学館の別館・本館・屋外展示資料の公開が終了。
こちらの宗谷号のみ、見学可能となっています。
南極観測船「宗谷」について
建造は1938年。

当初から南極観測船として建造された訳ではなく、第二次世界大戦中には海軍特務艦として、戦後は引き上げ船や灯台補給船として使用されていました。
その後、昭和31年(1956年)に日本初の南極観測船となり、1962年4月まで6回に渡る南極往復航海を果たしました。
その後は海軍保安庁の巡視船となり、1978年に引退。
翌年、船の科学館前に係留され、一般公開が開始されました。
40年の船キャリアの中で、実に様々な職務を全うされてきた船さんです。
(「船(ふね)」にさん付けしたら、完全にサザエさんのお母さん)

全長は83.3m。
既に建造から90年近く経っていますが、衰えを感じさせない、堂々たる風貌です。

なんと、見学料は無料。
入口にある受付窓口に、協力金入れの箱は置いてありました。
御船印はこちらの窓口で購入できます。
南極の氷の上を行く宗谷のデザイン。
金額は500円でした。
(御船印の相場は大体500円。)
船内展示(最上甲板)
船内に入る前、デッキの上からお台場のフジテレビが見えました。
そういえば、例の騒動は今年の頭の出来事でしたね。
それでは、日本から初めて南極を目指した宗谷の船内探索へGO!
士官食器室
船の揺れでも食器が倒れないよう、戸棚が差し込み式になっています。
暴風圏で、船体が最大62度も傾いたことがあるそうです。
体感でどんなものか分かりませんが、正直生きた心地しないでしょうね・・・
機関長室(航空長室)
上空からの氷上観測や、航空輸送などを行う航空科の長、航空長のための部屋。

急にマネキンおって、素でびびる。
船長、機関長、航海長など、一部の人にだけこのような個室が用意されていたそうです。

お隣は寝室。
士官食堂
乗組員のうち、士官用の食堂。
ちなみに、士官とは上級乗組員のことらしいです。(AI調べ)
この置物、当時からあった・・・訳ないか。
南極にいるのは、コウテイペンギンとアデリーペンギンの2種。
大きさ的に左がコウテイで、右がアデリーかな。
テレビと冷蔵庫が昭和過ぎる。
通路はこんな感じでかなり狭いです。
第1便所
古い施設で気になる水回り事情。
(お城とかお寺にある当時のトイレやお風呂も、いつもついチェックしちゃう。)
船内には4か所のトイレがあり、海水を使った水洗式だったそうです。
第1浴室
トイレの横にはお風呂。

説明書きによると、
真水を節約するため航海中は海水を、南極では氷の塊を浴室内に入れて蒸気で溶かして使用していたそうです。
海水のお風呂・・・入浴後も塩水でベタベタしそう・・・
ちなみにこちらは士官用のお風呂。
船長だけは専用のお風呂を持っていたそうです。やっぱり、長は特別待遇なんですね。
第5士官寝室
第一次観測当時の乗船人数は総勢130名。
そのうち、観測隊員が53名で乗組員が77名。こちらは乗組員のうちの士官用居室。
壁にペンギンの写真かかってますね。士官さん、ペンギンめっちゃ好きやん。
南極展示室
こちらの部屋は、展示室として使用されており、南極観測に関するパネル展示や映像コーナーがありました。
南極での観測員たちの暮らしといえば、映画『南極料理人』が思い出されます。
あの映画、面白かったなー。
今年、つくばで宇宙関連施設に行った時も思ったのですが、こういった特殊な場所で任務に就く方たちは、高度な専門知識はもちろんのこと、健康な体、そして何より閉鎖的な空間で限られた人たちと長期に渡って共同生活をするための協調性など、総合的な人間力が必要だろうな、と思います。
ちょっとしたことで、すぐクレーム言ったり、あおり運転するような自己中で心の狭っこい人は絶対に選ばれないと思う。
南極の氷!
たかが氷!されど氷!
氷自体は珍しいものではないですが「南極の」と言われると物凄く貴重なものに感じます。いや、実際貴重でしょうけど。
南極といえば、有名なタロジロの物語。
第1次観測時、このタロ&ジロを含む22頭の樺太犬が、観測員たちと共にこの宗谷号で南極に向かい、犬ぞりで人や物資を運ぶ役目を担いました。
しかしその後、1次越冬隊と2次越冬隊の交代時に天候が悪化。
2次の越冬は断念され、あえなく15頭の犬たちが南極の昭和基地に取り残されることとなります。
1年後、3次越冬隊が再び南極に訪れた際、このタロ&ジロの兄弟犬の生存が発見されたのです。
もうね、Wikipediaの説明とこの写真見ただけで、犬大好きおばさんは泣きそうです。
やむなく犬を置き去りにしたことで、当時の観測員の方たちは非難を浴びたそうですが、苦渋の決断をしなければならなかった現場の観測員たちが、何より辛かったと思います。
一旦外へ。

船に設置されていたスクリュープロペラ。
ここから階段で下に降りて、上甲板へ。
船内展示(上甲板)
こちらのフロアには、乗組員のうち一般船員にあたる科員の方たちの部屋があります。
科員室は、第1から第11まで全部で11室ありました。
第3科員室
2段ベッドが2台の4人部屋。
各部屋にクーラーはなく、赤道通過時には暑さに苦しめられたそうです。
この狭い空間で暑さに耐えて寝るとか、相当過酷だな・・・
こちらの部屋の左壁、何やら文字が。
昭和53年、引退の際に、どなたかが残した宗谷号へのメッセージでしょう。
最後の1行が角度的に読めなかったけど、何て書いてあるのか気になる。
ギター片手に談笑中。
糧食小出し庫
船倉の糧食庫より小出しした缶詰・穀物などを保存しておく倉庫。
なぜ「食糧」ではなく「糧食」なのか気になるところ。
と思って調べてみたら「糧食」というのは、備蓄や携行できる食べ物を差す言葉だそうです。へーへー。
観測隊員食堂
食事の他、娯楽室としても使われていた部屋だそうで。
見たことないボードゲームがありました。
何、これ。
調理室
当時、ここでは毎日130名分の食事を準備していました。
そんなリアル南極料理人の方たちです。
てか、さっきからマネキンの風貌が明らかに日本人離れしてるんよな。
各部屋には、その部屋の説明の他にも上記のような南極観測隊員の生活についての豆知識(?)みたいなものもあり、これが結構面白かったです。
素人同士で散髪するから、どのように仕上がるか予想できないとか。
南極観測隊あるあるなんでしょうね。
「イヌ達も、たまにはシャンプーしました」の一文が好き。
洗われているイッヌ、かわいい。
タロジロー!
足先が白いのが「ジロ」です。
犬係だった北村さんが、1年後に生存している犬を見つけた際、足先が白いことから「ジロ」だと思い名前を呼んだら、反応して尻尾を振ったそうです。
(Wikipedia情報)
1年間、過酷な野生の生活をしていたのに、ちゃんと自分の名前を憶えていて、しかも(仕方のなかったことですが)置き去りにされたにも関わらず、尻尾を振って応えるなんて・・・なんて・・・従順なんだ、君たちは(泣)
犬たちの餌の一つ、身欠きニシン。
ちなみに、生き抜いたタロジロは、基地に置いてきた餌や同志の犬たちは食べた形跡がなく、ペンギンやアザラシの糞などを食べて生き抜いたと考えられています。
・・・糞って、生き抜けるだけの栄養素あるんだ。
第8科員室
順路に沿って紹介しているため、再び科員室。
航海中はローリング(横揺れ)が酷く、船に対して横向きに置かれているベッドでは夜も眠れないほどだったそうです。
暑いわ、揺れるわ、メンタルもフィジカルも相当強くないと耐えれなさそうです。
第12&13士官室
突然ですが、ここでクエスチョンです。
この「エアスクープ」ってなーんだ。
♪デレデレデレデレデレ デレデレデレデレ デー♪
答え。
「暑さを凌ぐため、舷窓に取り付けて外気を室内に取り入れるための道具」でした。
第4准士官室(観測隊員室)
観測隊員たちの部屋。

宗谷時代の南極観測用の衣類は、山岳用品を参考に開発されたそうです。
治療室
船内の病院として機能してた部屋。
虫垂炎程度の手術であれば、ここで行っていたそう。

いや、じっと見てんと何かせいや。

南極に向かったのは、樺太犬だけじゃありません。
ミケネコの「タケシ」は南極で越冬した日本初のネコ。
ちなみに、名前は観測隊長の名前から取られたそうです。
右側の写真で、何故か無理やり立たされているタケシ、可愛いです。
船内展示(ヘリコプター甲板)
最後は、一番上階のヘリコプター甲板。
船長室
船の最高責任者、船長のお部屋。
来客の応接に使われた公室というものもあるそうですが、来客って誰が来るんでしょう?
コウテイペンギンとか?
操舵室
船の操縦が行われていた場所。




とりあえず、舵輪を握って船の行先を担うシュミレーションだけしておきました。
イメトレは完璧です。

最初の食器室で船が62度傾いた話に触れましたが、実際図で見ると62度の傾き、えげつないですね。
「復元力って、すごいですね!」レベルじゃないわ。
煙突(ファンネル)
ブルーの帯とコンパスマークは、海洋保安庁の所属船であったことを示すファンネルマーク。
普段乗船しているフェリーなんかも、ここに各船会社のマーク描いてありますね。
ヘリコプター発着甲板
第3次観測以降、大型ヘリコプター搭載にともなって増設された発着甲板。

広いっ!(感想、雑)

現在、甲板からは東京国際クルーズターミナルの建物が見えます。
日本で初めて南極大陸を目指した宗谷。
船の施設はもちろん、観測員や乗組員の方たちの生活も知ることができ非常に面白かったです。

南極観測船は、現在4代目の「しらせ」号が活躍中。
2代目の「ふじ」は名古屋で、3代目の「しらせ(初代)」は千葉で展示されており、どちらも御船印参加社。
全て見学して、時代と共に進化した南極船を感じてみたいものです。
利用案内
- 入館料:無料
- 入館時間:10:00~17:00(入館受付16:30まで)
- 休館日:毎週月曜日、年末年始(12/28~1/3)
https://funenokagakukan.or.jp/soya