前回ご紹介した赤木城&丸山千枚田に訪れたあと、熊野市駅近くに宿泊し、翌日は一部分だけですが、熊野古道・伊勢路の一部分を歩いてきました。
今回は、半日程度で楽しめる熊野市駅周辺の世界遺産スポットをご紹介します。まずは松本峠~鬼ヶ城の道のり。
世界遺産名:紀伊山地の霊場と参詣道
※和歌山・三重・奈良にまたがる3つの霊場「吉野・大峯」「熊野三山」「高野山」とそれらを結ぶ参詣道が登録されています。
熊野古道・伊勢路
熊野古道は、奈良や京都などの都市から熊野三山(「熊野本宮大社」「熊野速玉大社」「熊野那智大社」)へ向かう道。
その中の「伊勢路」は伊勢神宮から熊野へと通じる全長170キロの参詣道です。
熊野古道は、過去に「中辺路」の滝尻王子~熊野本宮大社まで38キロを歩いたことがあります。
その時の旅記事はこちら。
今回伊勢路について調べていたら、魅力あるルートで、170キロ踏破してみたくなりましたが、ひとまず今回は松本峠→鬼ヶ城→獅子岩→花の窟ルートを歩いてみました。
松本峠
旅のスタートは、熊野市駅の隣の大泊駅。熊野市駅から乗車時間はわずか3分ですが、本数が少ないので注意が必要です。
大泊駅から松本峠の登山口までは徒歩約10分。ちなみに熊野市駅から登山口までは、徒歩40分程度です。
松本峠以外の登り口も、ここから徒歩圏内のよう。
道中、このような案内表示が適時出ているので迷わず行くことができます。こういうのを整備していただいているのは、旅好き方向音痴にとって本当にありがたい。
そして、登り口の案内は一際分かりやすい。外国人の方にも人気の熊野古道らしく、英語表記も合わせてあります。
早速石段の登りです。上着脱いで、水を飲んで、出発!!
ご自由にどうぞの杖もあります。(今回はお借りしませんでしたが)
ちなみに、この峠はさほど距離も長くなく、険しい山道ではないことを事前に調べていたので、今回私の服装はデニムにスニーカーと至って普段着。
道はこのような熊野古道らしい石畳道。ゆえに、晴れていたこの日はスニーカーでも歩けましたが、雨上がりなどで濡れていると滑って危なかったかもしれません。(こういう旅のために、トレランシューズを1足買おうと検討中。)
周囲に桜の木なんてないのに、やたら花びらが落ちている。その答えはこのあと分かりました。
前半一気に登るので息は切れましたが、峠までの距離は600m。10分強で標高135mの松本峠到着しました。
正直、あれ?もう着いちゃった。っていうぐらい短かった。
峠には、高さ170センチのお地蔵さんがいらっしゃいます。妖怪と間違われて、鉄砲で撃たれたという伝説が残っているそう。
この後の行程もあるので、早々に峠を立ち去ります。(徒歩旅は、座ったら次立ちたくなくなるので、あまり休憩を取らずに水分補給だけしっかりして、あとはガンガン歩くスタイルです。)
お地蔵さん、さようなら。
松本峠から鬼ヶ城
松本峠からは道が「松本峠木本登り口」と「鬼ヶ城」の2つに分かれています。今回私は鬼ヶ城方面へ。
私は登りよりも、下りが苦手。下るって、むずくない?
途中で東屋に到着。展望スポットの一つです。
七里御浜が一望できます。私がこの後行く獅子岩も小さく見える。
・・・結構遠いな
東屋から15分ほどで鬼ヶ城城跡に到着。
この展望スポットから鬼ヶ城への道は、桜の名所ということで楽しみにしていたんですが
桜、もう散ってら
鬼ヶ城周辺には一足早く春が来て、既に終わりを迎えていたようです。海が近い山の上だからか、風が強いということもあり、咲いたらすぐに散ってしまうのかもしれません。
反対側は「鬼の見晴台」と名前のついた展望台。
桜、やっぱ散ってら
鬼の見晴台からは「さくらの道」を通って山を更に下ります。桜散ってるけど。(何回言うねん。)
これが満開ならさぞ綺麗だったろうな~
でも、桜の木々の間から見えた海が一際綺麗だったので大満足です。
途中、写真撮影などをしながら、松本峠登り口から1時間かけて山を下りて鬼ヶ城の駐車場に到着。
自然が作り上げた絶景岸壁・鬼ヶ城
鬼ヶ城は城の名前ではなく、熊野灘に面して約1.2キロ続く岸壁。伊勢路の一部として世界遺産にも登録されています。
ただ「鬼ヶ城」というお城自体も元々ありました。有馬和泉守忠親が隠居城として築いた城で、先ほどの展望台があった場所が城跡とされています。
ただ、観光名所として出てくるのはこちらの岸壁の「鬼ヶ城」
浸食と隆起・風化によって生まれた景観が圧巻で、国の天然記念物でもあります。
海に面して遊歩道があり、岸壁沿いをぐるっと歩いて周回できるようになっています。
①の千畳敷だけ行って駐車場へ戻る方も多いみたいですが、私は全ルート歩いて反対側まで行きます。
正直、この鬼はこの景色にミスマッチのような・・・
遊歩道は、天候によっては通行止めになることもあるようです。(実際歩いてみて分かりましたが、海間近なので高潮のときなど危険で絶対無理。)
熊野灘一望。
沖合に浮かぶ島は魔見(まみる)ヶ島。通称マブリカ。
説明書きによると、坂上田村麻呂が桓武天皇に鬼の征伐を命じらた際、このマブリカに童子が現れて舞い踊り、鬼が油断して岩戸を開いた隙を狙って、矢を放ち鬼を仕留めたという伝説があるそうです。
なお、Wikipedia師匠には「鬼と恐れられた海賊多娥丸を征伐した」と記載されていました。
で、このトトロみたいなのは何なんだろう・・?
「鬼ヶ城」の看板よりも、目がいく尖った鼻先のような岩。
見下ろすと、打ち寄せる波。こうして今も少しずつ岩が削られ岸壁の形は変化しているんでしょう。
この穴も自然にできたものなのか・・・?
そして、この穴をくぐると千畳敷という凝灰岩が海蝕されてできた洞窟に出ます。
頭上に覆いかぶさる岸壁は、ただただ圧巻。
こんな怪獣いそう。
これが自然にできたというのだから、風や波の力はもはやアーティストの域です。
洞窟から眺めた海。
火サスより火サスの舞台。犯人の逃げ場ゼロ。っていうか船越さんと対峙するスペースもない。
途中から、遊歩道はこのような崖の平らな部分に、小さな柵がついただけのものとなります。このルート一方通行ではないので、反対側の入口からも人が歩いてきます。人が少なかったのでよかったですが、これ、すれ違うの結構大変。
右側の奥にある岩が「木喰岩」(多分。)
このように名前の付いた岩を紹介してくれているんですが、正直どれを指しているのかよく分かりませんでした・・・
別に名前なんてなくとも、全ての岩、そしてそれが作り上げている景観が本当に面白い。
周囲はひたすら岩と海なんですが、飽きる事なく歩けます。
佇む海鳥さん。(何て鳥だろう。)
七里御浜が綺麗に見えました。
「象の鼻」(勝手に名付けた)
遊歩道は写真を撮りながら歩いて、大体35分程度でした。本当はこのあと獅子岩・花の窟を見た後、和歌山の串本に移動するつもりでいたのですが、思った以上に鬼ヶ城が面白く、この時点で予定時間を過ぎてしまいました。
かと言って、この後慌ただしく見て回るのも嫌なので、予定を変更。串本へは行かず、獅子岩と花の窟を見たあとはまたJR特急南紀で松坂駅へ戻ることにしました。(朝早めに出たので、またお昼前ではあるんですが、電車やバスの本数が少ないので1本逃すと計画が総崩れになる。)
そうと決まれば、残りの2か所のんびり見て回ろう。
次回へ続く。
おまけ
鬼ヶ城西口近くにて。
・・・テトラポットでかない?
その他の訪問した世界遺産はこちらから。