世界遺産名:北海道・北東北の縄文遺跡群
※今から約15,000年前から約2,400年前にかけて続いた縄文時代。1万年以上に渡って続いた狩猟・漁労・採集によって支えられた縄文文化の様子を伝える遺産として、北海道・青森・岩手・秋田に残る17の遺跡が登録されています。(登録年2021年)
青森旅4日目。
前日八戸駅周辺に宿泊し、午前中にまず世界遺産の「是川石器時代遺跡」に行きました。
小牧野遺跡に続き、この旅2か所目の縄文遺跡です。
小牧野遺跡の記事はこちら。
是川石器時代遺跡について
北海道・北東北の縄文遺跡群は定住の開始・発展・成熟という遺跡の構造から6つのステージに区分されています。
是川石器時代遺跡は定住が成熟した「ステージⅢb」(最終ステージ)に分類されていますが、縄文時代前期から晩期にかけての長期間に渡る集落遺跡群です。
新井田川沿岸の段丘上に位置する中居・一王寺・堀田の三つの遺跡からなり、中居遺跡では、住居・墓域・送り場(捨て場)・配石など多様な遺構が見つかっており、また多数の漆製品が発見されました。
(凄くどうでもいいんですけど「中井」の文字見て中井貴一さんを思い浮かべることはないけれど、「中居」の文字見ると必然的に中居正広さんが思い浮かぶのは私だけでしょうか。)
定住のステージの詳細については、公式HPをご参照ください。
縄文遺跡群を知る – 【公式】世界遺産 北海道・北東北の縄文遺跡群
現在遺跡自体は整備工事中の為見学することはできませんが、遺跡跡近くにある「八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館」で発掘品の数々、そして国宝の「合掌土偶」を鑑賞できます。
今回のお目当ては、こちらの合掌土偶です。
アクセス
バスの場合
JR八戸駅東口から「是川縄文館」行乗車 約24分「是川縄文館」下車
JR八戸駅からバスで行く場合、土日祝日は、是川縄文館行き直通バスが運行されていますが、平日は一旦八戸中心街までのバスに乗車し、そこからバスの乗り換えが必要です。
八戸駅から中心街までバスで約25分。そこからバス停を移動し(徒歩2~3分)中心街から是川縄文館まで17分。乗り継ぎの待ち時間などもあるので、直通バスの方が効率はよいです。
私は平日に訪れたので、行きは中心街乗り換えのバス、帰りはタクシーを利用しました。
乗り継ぎも含めた分かりやすい時刻表を、是川縄文館公式HPの交通案内欄に掲載してくださっています。
「八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館」で出土品鑑賞
非常に立派な施設。なのに入館料は250円と非常にリーズナブルです。
めっちゃ味あるフォント。
常設展示では、是川遺跡・風張1遺跡からの出土品が展示されています。
展示室に入ると、縄文くらしシアターがあり、中居遺跡の発掘から想定される縄文時代の暮らしの映像が流れます。
そして薄暗い展示室に入ると、まず目に入るのが漆製品を展示する「うるし美」コーナー。
是川中居遺跡で出土した漆器・皮製品・漆塗り土器などが展示されています。
3000年前の品とは思えない程の保存状態。革製品の濃い茶色についている赤い部分は、私の持っているガイドブックによると縄文人の指紋だそうです。
実用品だけでなく、櫛や腕輪などの装飾品もあります。美しく着飾りたい!という欲求は、1万年前の縄文人も今を生きる令和人も同じなんだな~と一気に縄文人が身近に感じます。
この時代にも、確実に自分のご先祖様は生きておられたはずなので、もしかするとこの腕輪は私や友人のご先祖様が身に付けていたかもしれない・・・なんて想像も膨らむ。
(両親共に西日本出身なので東北エリアに親戚筋はいませんが、でも数千年前かけて移動したかもしれないし。ま、縄文時代以降に渡来して来た可能性も多いにあるわけですが。)
漆って数千年経ってもこんなに綺麗に色が残るんだ。漆=かぶれるっていうイメージあるんですけど、縄文人たちはどう対処していたんだろう?
続いて「是川の美」コーナー。大好き土偶エリア。
遮光器土偶は地球外生命体を彷彿させることから、縄文時代に宇宙人いたんじゃないか!?みたいな都市伝説もありますが、実際見ると本当に不思議で面白いデザイン。
何かをモチーフにしたなら、確かに宇宙人しかあり得ない気がします。
単に想像力だけでこれらのフォルムを生み出していたなら、縄文人、相当想像力と芸術力に長けていたとしか思えない。
今回見た中では、右側のなんか脱力した感じのやつが一番好き。お腹にいっぱいボタンついてるし。ボタンかどうかは知らんけど。
都市伝説好きなので、個人的には「実は宇宙人が地球人に知恵を与えた」説とか結構興味あります。
関取の原型・・・?
昨日お相撲さんに沢山遭遇したので(宿泊したホテルにいらっしゃった)髷に見えるわ・・・
「風張の美」コーナー。風張1遺跡出土の土器・石器など。ドキドキ土器エリア。
小さな土製品。スタンプ形土器は用途が不明となっていますが、地面に押したりして子供が遊んでいたのかもしれない。子供はシールとスタンプ大好きと相場が決まっているので。(ちなみに私は大人になってもスタンプが好き。厳密に言えば、スタンプというかそれを集める行為が好きなんだけど。)
首飾り。普通におしゃれ。
国宝「合掌土偶」
本日のメイン 国宝の「合掌土偶」
最初の展示室の土偶コーナーになくて
え?もしかして外部の企画展に出張中!?
と思いましたが(実際、現在北海道博物館で「北の縄文世界と国宝」っていう展示会やっていて、他の博物館の国宝でそちらに出張中のものがある。)合掌土偶さんは特別待遇で「国宝展示室」という専用のお部屋が用意されていました。
合掌土偶は風張1遺跡から出土し、2009年に国宝指定を受けました。
説明書きによると、竪穴住居の出入り口と反対側の壁側から、左足が欠けた状態で発見されたそうです。左足は同じ住居の床面から出土しています。
土偶は捨て場から出土することが多く、このように竪穴住居跡から見つかることは貴重なんだそう。
そんな合掌土偶さんの姿がこちら!
「合掌土偶」という名前は見た通り、座って手を合わせている姿からつけられています。
大きさは高さ19.8センチ。幅14.2センチ。
脛当てや肩パッドをつけた服装にも見えます。土偶はお腹や胸が膨らんでいて、女性をイメージするものが多いですが、パッと見、こちらの土偶さんはそのようなふくらみが見られない。でも、股部分を見ると、女性の象徴を象ったと思しきデザインでした。(さすがにアップで撮影するのは気が引けた)
たまたま部屋に一人だったので、360度土偶の周りを回ってじっくり鑑賞することができました。
・・・顔、キン肉マンに見えてきた。
7月15日から9月3日までは特別展『北陸の晩期縄文文化』が開催中。
こちらの土偶もなかなか個性的で面白かったです。
現在遺跡を整備して、縄文文化晩期の中居ムラを復元する計画だそう。完成は令和8年ともう少し先になりそうです。
利用案内
- 入館料:大人250円 高校・大学生150円 小中学生無料
- 開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合は開館)、祝日・振替休日の翌日(土日祝の場合は開館)、年末年始(12/27~1/4)
おまけ
合掌土偶さん、履歴書もありました。
御年3600歳。
本人希望欄『同じ姿勢で24時間勤務できます』だそうです。
「微動だにしない」という応募条件の求人を出されている全国の人事担当者の方、物凄い適任者いてますよ。