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「ウポポイ民族共生象徴空間」でアイヌ文化を学ぶ|2023年2月北海道④

さっぽろ雪まつりがメインの目的の旅でしたが、雪像や氷像自体は数時間あれば全部見て回れるので、その他の時間は、札幌市内や近郊を観光して過ごしました。

その内の一つ「ウポポイ民族共生象徴空間」をご紹介します。

ウポポイ民族共生象徴空間とは

「ウポポイ民族共生象徴空間」は、アイヌ文化の復興・発展の拠点として2020年7月に開業したナショナルセンターです。

アイヌ民族博物館」「国立民族共生公園」「慰霊施設」の3つの施設によって構成されており、アイヌの歴史や文化に関する展示を見たり、アイヌの方たちが受け継いできた歌や踊りを生で見ることもできます。

「ウポポイ」ってCMもしてましたよね。何か記憶にある。ちなみにウポポイとは、アイヌ語で【(おおぜいで)歌うこと】という意味です。

先月行った沖縄に続き、今度は日本の北エリアで育まれていた「アイヌ民族・文化」について学びたく、兼ねてから行ってみたいと思っていたのです。

去年『ゴールデンカムイ』をヤンマガアプリで無料期間中に一気読みして、アイヌ文化に興味を持ったという単純な動機ですが。チタタプ チタタプ。

札幌からウポポイ民族共生象徴空間へのアクセス

札幌駅からJR特急「北斗」号またはJR特急「すずらんで1時間。「白老」駅下車徒歩約10分。

札幌駅からであれば、自由席でも座ることができましたが、平日にも関わらず割と車内は混雑していました。

今回私は「えきねっと」のサイトで特急券+乗車券を通常価格で購入したんですが(片道乗車券+特急自由席券3,250円)JR北海道では様々な割引切符が存在し、札幌⇔白老間にも、「乗車券往復割引」切符なるものが存在していました。

帰りの切符買ったあとに気づいたので、時すでに遅し・・・調べが甘かったです。

この日、札幌市内は曇り時々雪のお天気でしたが、白老駅に到着したら

めっちゃ晴れてる!というか、晴れている地域を探した結果、ここに辿り着いたので当たり前なんですけど。(本当は小樽に行こうと思っていたけど、同じく天候が悪かったので止めた)

白老駅の北口から出ます。

駅からは600m。通常であれば10分弱で歩ける距離ですが、雪道なので通常の1.5倍かかる計算で行動していました。スノーブーツ履いててもヨチヨチ歩きしかできない。(何せ前日、雪まつり会場で思いっきり滑ってすっ転んでるし。)

駅名表示の横にも「ウポポイ」

よちよち歩きでも10分で到着できました。ポストかわいい。

ウポポイ民族共生象徴空間の各施設紹介

入口(展望広場からエントランス棟まで)

ウポポイ民族共生象徴空間は、ポロト湖に沿って広場や各施設が点在しています。

ウポポイPRキャラクター「トゥレッポん」
ネギかと思ったら、モチーフはトゥレプ(オオバユリ)だそうです。

いざないの回廊

エントランス棟

正面のグレー屋根の所が入退場ゲート。周りにはお土産屋さんや休憩所、レストランなどが並んでいました。こちらの入退場ゲートを入るのにチケットが必要になりますが、中に入った後は追加料金なく、どこの施設でも自由に入れます。(ただし、体験プログラムなど別途有料なものはあり。)

体験交流ホールで伝統芸能「シノッ」を鑑賞

ウポポイでは、映像や芸能上演の鑑賞、また体験学習など様々なプログラムが用意されています。このプログラムの中から、時間と興味があるものをまずは色々見てみることにしました。

まずは体験交流ホールで行われる伝統芸能「シノッ」

後ろのシルバーの建物が体験交流ホール。

この体験交流ホールで行われるプログラムを見るためには、手前にある小さい方の建物で、座席指定整理券を事前にもらう必要があります。

私が鑑賞したのは11:30からの演目。伝統芸能上演は4つの演目があって、それぞれ内容が違うようなのでこれを全部見る事も考えましたが、そうすると他の施設に行く時間が取れないので、結局見たのはこの回だけ。

演目の上演時間は20分。私が見た演目は「ク リムセ」(弓の踊り)「ウポポ」(座り歌)「ムックリ」(口笛)「イヨマンテ リムセ」(熊の霊送りの踊り)

演目の始まりごとに説明をしてくださるのですが、歌の歌詞のアイヌ語については全く聞きなれない言葉で、意味を理解することは不可能。それなのに、妙に音の響きやリズムが心地よく耳に届きました。

アイヌの人たちは、動物や山、川などの自然など、人に恵みを与えてくれるもの、人の力の及ばないものを「カムイ(神)」の化身とし、それらを敬う文化がありました。

日本には元々、自然の様々なものに神が宿る「八百万の神」という考えがありますが「宿る」と「カムイ」は、少しニュアンスが違うのかな。

この辺りの信仰に関する考え方は、奥が深くてなかなか難しいです。

アイヌ文化で興味深いなと思ったのはイヨマンテ(霊送り)の文化。

イヨマンテ」の中でも、熊の霊送りが重要とされていて、小熊を生前に大切に育て、死後、魂が再び神の世界に帰った際、人間界はいい所だったよと熊の魂に伝えてもらうのです。そして、またカムイに人間の世界に動物の姿となって、毛皮や肉の贈り物を携え来てもらうと考えていたそうです。

漫画の世界で知ったカムイの霊送りの踊りや、ムックリの音が生で聞けて良かったです。

あと、この劇場の舞台後方が大きなガラス窓になっており、終了後幕が上がると雪景色が目の前に広がって非常に綺麗でした。寒いけどここに冬に来て良かった。

上演中の撮影は不可のため、様子をお見せすることはできませんが気になる方はYoutubeアイヌ音楽の動画など検索してみてください。

体験学習館別館「カムイ アイズ」

続いて、体験交流ホールの側にある体験学習館別館へ。

こちらでは、毎時00分、20分、40分に「カムイアイズ」という映像体験ができます。

中に入ると、一人一席このようなドーム型が付いた座席が用意されていました。みんなで一つの映像みるのかと思ったら、想像と違った。

このドーム内に、動物たちの視点から見る世界の映像が流れ、動物目線で北海道の自然を見ることができます。

このあと、再び体験交流ホールに戻って、アイヌに伝わる2つの物語のアニメーション映像『カムイ ユカラ』を鑑賞。

こちらの映像は土日祝は12:30の1回。平日は12:30と14:30からの2回上映されていました。30分の上映が終わって時刻は13:00。

入館してから、体験交流センターと体験学習館のエリアだけ行ったり来たりしているだけで、早くも1時間半経過。

続いては博物館へ・・・の前に、お腹が空いたのでランチタイムです。

カフェ リムセでアイヌ料理を頂く

レストランは入退場ゲートの外にあるので、ゲートを出る時に再入場したい旨を伝えたら、再入場用のチケットを頂けました。

レストランやカフェ、フードコートなど数か所飲食店がある中で、私は「カフェ リムセ」というお店へ。

そこで頂いたのが『チェプオハウセット』(1,400円)です。初めてのアイヌ料理

「オハウ」というのはアイヌ語で「汁」

鮭と野菜のスープ定食という感じでした。具材が大きくて味は優しく、体が温まりました。付け合わせの一番右端のものが、お餅?に甘いタレがかかってて、ちょっとデザートぽくて美味しかったです。

ちなみに、料理名は正式には↑のように表記します。「プ」が小文字。こちらのレストラン名も「リムセ」の「ム」が小文字です。

アイヌ語は日本語では小文字にならない文字が小文字表記されていることも多く、ブログ内では大文字表記しかできないので便宜上大文字で記載させてもらっています。

(そもそも、小さい「プ」や「ム」ってどう発音するんだろ・・・?)

国立アイヌ民族博物館でアイヌ文化について学ぶ

再び入場し、ゲート正面にある国立アイヌ民族博物館へ。

2階の展示室手前のには大きなガラス窓があり、雪に覆われたウポポイが広がります。

展示品を通じて、アイヌの文化や歴史をお勉強。

イヨマンテ」で送られる熊さん。

面白かったのが、特別展示室にあったアイヌ語表記表。

館内や貰えるパンフレットには、日本語と合わせてアイヌ語の表記があります。

元々「アイヌ語」として存在しない言葉については、その意味から相応しいものをあてはめ、表記した手順なども説明してあって興味深かったです。

写真パネルの裏に、日本語とアイヌ語が書いてある。先ほども言いましたが、従来の日本語では小文字にならない言葉が小文字表記されていることも多く、頭の中で発音を試してみながらパタパタとあちらこちらめくっていました。

博物館の1Fにもシアターがあり、ここでは「アイヌの歴史と文化」というプログラムを鑑賞。

伝統的コタンをさくっと見学

そろそろ帰る時間が近づいてきましたが、最後にアイヌの昔のチセ(家屋)が再現された「伝統的コタン」エリアへ。

朝ぶりに会いましたね、トゥレッポん。

室内見学できるチセがあったので、お邪魔してみました。

韓国のオモニたちが、囲炉裏を囲んで楽しそうに団らんしていました。(話している内容は分からないけれど、韓国ドラマ見てるうちに、数単語だけなら聞き取れるようになった。)

こちらの場所でもプログラムが開催されるとのことでしたが、電車の時間が迫っていたので退出し、ウポポイを後に。またヨチヨチ歩きでJR白老駅へ行き、特急北斗で札幌駅へ帰りました。
帰りの電車の車窓からは、降り積もった雪と夕焼けの景色が広がっていて、とても綺麗でした。

ウポポイは博物館だけではなく、伝統芸能やシアターなど様々なプログラムも用意されていて、興味を持ったあとの入口として訪れるのには、いい施設だと思いました。

今みたいに暖房設備や保温に優れた衣服がない時代、雪の中の暮らしはさぞ厳しいものだったと思います。それなのに、なぜこのような寒い地域に根付いて生活していたのか。アイヌの信仰や文化など益々興味が湧いたので、また機会を持ってゆかりの場所など訪れたいと思います。

利用案内

  • 料金:大人1,200円 高校生600円 中学生以下無料
  • 開館時間:季節によって異なるため、詳細はHPでご確認ください。
  • 休館日:月曜日(祝日の場合は翌日以降の平日。ただし、平日の開館日もあり。)年末年始

ainu-upopoy.jp

おまけ

博物館に展示されていたラッコの毛皮。

・・・ラッコ、意外とでっか。