男鹿半島に来たならば、見ずにはいられない伝統行事。
それが、なまはげ!
JR秋田駅の改札出たら、出迎えてくれるなはまげさん。
秋田駅から男鹿半島に来る途中も、あちらこちらでアピールしてきたなはまげさん。
続100名城「脇本城」の最寄り駅 脇本駅の駅名標にもなまはげさん
そんななまはげさんに生で会うべく、男鹿半島の真山地区にある「なまはげ館」と「男鹿真山伝承館」に向かいました。
「なまはげシャトル」に乗って、JR男鹿駅から真山(しんざん)地区へ
広い男鹿半島には、複数の名所がありますが、電車はJR男鹿駅までしか走っていません。
半島の根本までしか電車では行けない・・・
路線バスも頻繁には運行されていない。
しかし、男鹿半島では公共交通機関派にとって、便利なサービスが運用されています。
それが「なまはげシャトル」
主要スポットを巡るあいのりタクシーです。
通常のタクシーを利用するよりも、安価で利用することができますが、いくつか注意点があります。
【注意点】
・前日までの事前予約制である。(電話は17時まで、インターネットは21時まで)
・時刻表通りの運行である。(タクシーだからと言って、つかまえたら自由に乗り降りできるという訳ではありません。)
・支払いは現金かクレジットカード。(行先に応じて金額が決まっています。)
男鹿駅からレンタサイクルも考えたのですが、なまはげ伝承館等がある真山地区までは車でも25分。
さすがに距離があるな、ということで、このなまはげシャトルを利用しました。
人数に応じて車の大きさも変わるようです。この日は、男鹿駅から真山地区まで、私を含めて3組のお客さんが乗車しました。
脇本から男鹿駅まで利用した市内バスと同様、バンタイプの車でした。
時刻表があるものの、予約制で乗る人はあらかじめ決まっているので、早めに全員集合していたら、定刻前でも出発しました。
結構山深い地域だったので、自転車で行かなくて良かった・・・
いつでも誰でも、なまはげ体験ができる「男鹿真山伝承館」
男鹿半島に伝わる「なまはげ」行事は、大晦日の晩に集落ごとに行われる為、一般観光客が体験することは難しいですが、そんな伝統行事を、いつでも誰でも体験できる場所が「男鹿真山伝承館」です。
この施設では、毎日4月~11月は13回、12月~3月は6回の「なまはげ習俗学習講座」が行われており、実際のなまはげ行事を体験できます。
実演時間や、混雑状況はHPで確認できます。個人の場合でも、前日までであれば、予約もできるようです。
よほど団体客で埋まっていなければ、行ったタイミングで受付して見る事ができると思います。
座敷に通され、なまはげの登場を待ちます。
まず初めに、なまはげについての説明があります。
「なまはげ」の語源は「なもみ剥ぎ」という言葉が訛ったものだそうです。
「なもみ」というのは、囲炉裏にあたってばかりいると手足にできる火型のこと。
怠けて囲炉裏の前ばかりにいるとできる「なもみ」を剥いで、怠惰をいましめる「なもみ剥ぎ」それが「なまはげ」の由来だそうです。
なるほどー
外見は怖い鬼のようですが、男鹿地方では真山・本山に鎮座する神々の化身とされています。
子供を狙って、やたらめったらに家中暴れまくるイメージを持っていたのですが、なまはげさんの来訪は、きちんとした手順がありました。
まずは、先立さんが家になはまげがやって来ていいかを、家長さんに確認。
その後、なまはげさん、ウォーと雄たけびと共に登場!
写真ぶっれぶれ・・・躍動感やと思って見てください。
ひと暴れしたなまはげさんを、家長さんはお酒やお食事で、おもてなしします。
日本人の心「O・MO・TE・NA・SHI」は、なまはげさんに対しても、行われていたんですね。
この後、家長さんとなまはげさんの問答が行われます。
家のもんは、ちゃーんと働いているんか、とか、子供はちゃーんと勉強しとるんか、とか。
問答は、秋田弁で交わされるので、ちょっと方言がきつくて分かりづらい所もあるけれど、まぁ、ほとんど理解できます。
それから、なまはげさんは「なまはげ台帳」を取り出して、「お前は家のもんが、ちゃんとしてると言ったけど、この台帳には、仕事はせんとテレビばっか見てるって書いてるぞー!」と、暴露を家長にぶつけます。なまはげ版の文春砲です。
そして、家の怠け者を戒めるために、再び暴れ出すなまはげさん。
観客席にもやって来るので、私もめっちゃ接近されました。(動画で撮ったから、写真にはないんですけど・・・)
そして、最後に家長さんが「来年までにはちゃーんと悪い事直しておくので、この餅で勘弁してください」とお餅を渡すと、来年の再訪を誓ってなまはげさんは山へと帰っていくのでした。めでたし、めでたし。
約20分間のなはまげ行事体験。
扉を開けたり、壁を叩いたりする音が大きくて、その音にはちょっとびっくりしましたが、なまはげさん自体は、何だかちょっとコミカルで怖さよりも面白さが勝る体験でした。
小さいお子さんもいたんですが、怖がるよりも凄く楽しんでました。なまはげさんと普通に会話してて可愛かった。
なまはげが着てるケラミノから落ちた藁。
神聖なもので、無病息災の護符だそうです。落ちたものは拾っていいそうなので、もらってきました。
各集落のなまはげが大集合「なまはげ館」
伝承館のお隣には、なまはげの資料展示がされている「なまはげ館」があります。
実演の後、なまはげ文化について更にお勉強するべく、こちらも見学。
施設内の「なまはげ伝承ホール」では、男鹿で行われている大晦日のなまはげ行事の映像を見る事ができます。
伝承館での実演は、結構なごやかな感じもあったんですが、リアルなまはげの襲来には、集落の子供たち大号泣でした。(映像見ている大人側からしたら、必死に逃げる姿が微笑ましくて、笑っちゃうんですけど。)
映像は結構古そうだったんで、恐らくもうみんな立派な大人だと思うんですよね。
ずーっと観光客に号泣する姿を見られているのも、ちょっと恥ずかしいかも・・・
この館にも、あちこちなはまげさんがいるんですが、一番の見どころが「なまはげ勢ぞろい」の部屋。
男鹿市内の地区ごとのなまはげさんが、文字通り勢ぞろい。
ひとえに「なまはげ」と言っても、そのお顔は地区ごとに違って個性的です。
手作り感溢れるお面は、非常に味もあります。
・・・完全に、目が合ってます。
明るい展示室なので、楽しく見れていますが、これ暗い中だと結構どころか、相当怖いかもしれない。
ここにコナン君が来たら、なはまげ人形の中に犯人が紛れて隠れていて、暗がりの中、事件を起こす「なまはげ伝説殺人事件」が確実に起こりそうです。(今、初期のコナン君をアニメで見返してるので、脳内が「真実はいつも一つ!」状態。)←どういう状態。
「なまはげ柴灯まつり」が行われる真山神社
帰りのバスまでまだ時間があったので、なまはげ館から5分ほどの場所にある真山神社に参拝しに行きました。
神社縁起によりますと、景行天皇の時代、武内宿禰が北陸地方視察の際にこの地に下向し、使命達成と国土安泰を祈り、瓊瓊杵命(ににぎのみこと)と武甕槌命(たけみかづちのみこと)を祀ったのが始まりだそう。
宿禰さんは、男鹿にまで来ていたんですか。
仁王門をくぐり、階段を上がると拝殿があります。
こちらは薬師堂。
こちらの神社では、毎年2月に「なまはげ柴灯まつり」が行われているそうで、恐らくこの広い敷地がその会場になるのかな、と。
更に神社の近くをうーろうろしていたら(バスの時間まで、完全に時間を持て余していた人)凄く立派な木がありました。
慈覚大師お手植えと伝えられる、樹齢1000年以上の榧の木。
お恥ずかしながら「榧」の字が読めず、今回調べて初めて知りました。
「かやの木」でした。
なまはげ以外の知識も増えて、また一つ、賢くなりました。
帰りもJR男鹿駅まで「なまはげシャトル」で戻り(往復共に、前日までに予約していました。)男鹿駅から電車で秋田駅まで帰りました。
車に比べて自由度が低い分、今回は真山地区のみしか行けませんでしたが、次来る機会があれば、男鹿温泉で一泊して、もう少しゆっくり男鹿半島を観光したいです。
利用案内(なまはげ館)
- 開館時間:8:30~17:00
- 入館料(なまはげ館のみ):一般660円 小中高生330円(なまはげ館+伝承館共通券):一般1100円 小中高生660円
- 休館日:年中無休
※男鹿真山伝承館の「なまはげ習俗学習講座」の時間は、HPにてご確認ください。
おまけ
JR男鹿駅周辺のなまはげたち。
今日1日で、一生分のなまはげ、見た。