高野七口の一つ「京大坂道」を歩いて、高野山へ。
前編はこちら。
行程の3分の2を歩き終え、不動坂口女人堂まではあと3.2キロとなりました。
旧白藤小学校~極楽橋
学文路駅から歩き始めて、約2時間。
初めて民家以外の建物が現れました。
(ここまでの道中、コンビニの類はおろか自販機さえないので、京大坂道を歩く際には事前に水分を確保しておいてください。)右側の建物は、廃校となった小学校。
現在は「Coffee しらふじ」というカフェが営業されています。
(Googleマップで見ると、水木金が定休日と記載されていますが、インスタでは土日祝の営業となっていました。平日はやっていないかもです。)小学校時代の中庭と思われる場所。
右奥にはお手洗いもあります。
お店同様、このルートはお手洗いも全然ありません。ようやくここでトイレタイム。
綺麗なお手洗いでした。
沢山ベンチがあったので、ここでお昼休憩。
(カフェでゆっくりするほどの時間もなかったので、外で持参してきたパンを貪りました。)
エネルギーチャージをして、さぁもうひと頑張り歩くぞー!!と気合い入れて再出発。
えーっと、最終的に高野山方面に行きたいのですが、京大坂道のルートは極楽橋を渡ります。
ということは、右でいいんですよね。と確認する相手もいないので、自分を信じて右ルートへ。(あってました。)
眼下に、南海高野線の線路が見えました。
昔はみんな歩いた高野山までの道。
今は南海高野線で極楽橋駅まで行き、その後ケーブルカーに乗り換えて高野山駅。そこからバスで各寺院まで行くことができます。
そんな便利な時代に、あえて時間をかけて徒歩で参詣する人は全体の何割ぐらいなんでしょうか。
(今回、道中出会った人数は10人にも満たないぐらいでした。)
綺麗な川に癒されます。
極楽橋に到着。
わー、シャガがいっぱい咲いてるー
(さっき覚えたての知識をめいいっぱい披露。)極楽橋駅、外から見るとこんな感じなんだ。おしゃれだなー
なんてのん気に思っていましたが、ここで私は道を間違っていたことにようやく気づきます。
地図には「橋をわたる」と書かれていましたが、私完全に橋をくぐってきました。
うぉ!戻れ、戻れ。
幸いそれほどの距離ではなかったので、5分のロスタイムで済みました。先ほど、橋を見上げた付近にあった左側の道を上がって、極楽橋に到着。
ちゃんと指示通り、橋を渡ります。
橋を渡ったら、この先の案内板と、スタンプ。(高野七口を始め、和歌山の参詣道でスタンプを押せる押印帳がありります。)
そして、何よりも気になるのが真ん中の看板の四文字。
「クマ出没!」
マジですか。熊鈴持って来るの忘れました。
仕方がないので、必殺太ももパチパチ(歩きながら、定期的に両太ももの横をパチパチ叩いて音を出す秘儀。大阪名物「パチパチパンチ」の太もも版。)で対応します。
ここから対向車に気を付ける必要はなくなりましたが、熊という車よりも危険な存在に注意しなければならなくなりました。パチパチ。
ケーブルカーの線路。
あれに乗れば、たった5分で高野山駅まで行けます。しかし、私は「不動坂」ルートを徒歩で行きます。
ここから、本格的に山登りが始まります。パチパチ。
京大坂道の難所・世界遺産にも登録された「いろは坂」
説明書きによると大正4年に行われた改修により、旧来の不動坂と重なるように県道が整備され、その後はその県道が「不動坂」として一般化されてきたとのこと。
元々の不動坂は、距離にして約2キロ程度であるものの「高野山を目前に控えた最後の難所」だそうです。
その不動坂のルート上にあるのが「いろは坂」
また、その他にも名所・旧跡が残るルートのようです。約3時間、ずっと舗装道を歩いてきましたが、ようやく古道らしさを感じられる山道です。
さぁ、最後の難関、挑もうじゃありませんか。ちなみに、いろは坂の入口は写真右手側。看板がある場所から山に入ります。
左側の道へ行っても、途中で合流できるようですが、京大坂道で世界遺産に登録されたのはこの「いろは坂」から女人堂の山道部分ということなので、こちらを歩きます。距離が短いからと言って、舐めてはいけない。それが山。
いろは坂は、つづら折れの形状をしているので、何度も折り返しが続きます。
久々の山登りにゼーゼーしながら、何とかいろは坂を上り切りましたが、まだしばらくは山道が続きます。
万丈転と名付けられたこの場所。
「山内で罪を犯した者の手足を縛り付け、簀巻きにして崖下へ追放したと伝えられる刑場跡の一つ」だそうです。
・・・何か怨念とかこもってそうで怖いんですけど。林立する樹木の間に稚児滝という滝が見えるという案内書きを発見。
確かに、滝の音はするのですが木々に隠れて姿が見えない。
2分ほど歩くと、木々の隙間から小さく滝が見えました。
あれかな?いろは坂の入口から約30分で清不動堂に到着。
この清不動堂の裏が不動坂ルート。
見た目は何の変哲もない山道。
ですが、何百年にも渡り、人々が苦しい思いをしながらも高野山を目指し歩いた歴史ある道だと思えば、ここを歩くという経験こそに価値があると思える。
(と、自分に言い聞かせる。ゼーゼー。)
いろは坂入口から約50分。舗装道に出ました。
そしてそこから8分ほどで京大坂道の最終地点、不動坂女人堂に到着!!
学文路駅からここまで約4時間。(途中、旧白藤小学校での休憩含む)
最後のいろは坂を含む旧道はしんどかったですが、所々に旧跡などもあり、久々の古道歩きは楽しかったです。
今では男女問わず当たり前に参拝できる高野山ですが、明治5年までは女人禁制の場所でした。
それゆえ、高野七口の各入口に女性の籠り堂として女人堂が建てられていました。
現在は、ここ不動坂女人堂が建造物が残る唯一の女人堂です。
かつて、女性の参詣者が各入口に建つ女人堂から女人堂へと歩いたその名も「女人道」と呼ばれる道も存在しています。
次はそこを歩こうかな。
噂通りインバウンド観光客だらけだった高野山
京大坂道歩きは終わりましたが、ここはまだ高野山の入口。
更に檀上伽藍を目指して歩きます。
女人堂から檀上伽藍までは約20分。八重桜がまだ咲いていました。
金剛峯寺前を通過。
京大坂道ではほぼ人に会いませんでしたが、やはり山中は多くの観光客がいます。
日本語以外の言葉もかなり聞こえてきます。元々、外国人観光客が多い場所ではありましたが、最近更に人気が高まり、オーバーツーリズムの問題を抱えているようです。(ここだけに限ったことじゃないですが。)
高野山の三大スポットの一つ、檀上伽藍に到着。
大会堂
檀上伽藍のシンボル的存在・根本大塔
左側は高野山の総本堂・金堂。
今回の目的は、他にあったので元々堂内まで入る予定はなかったのですが(堂内には過去に何度か入ったことがあるのでね。)何と金堂の拝観チケット、本日分売り切れとの案内が出ていました。
え?拝観チケットの売り切れとかあんの?
お堂の外には、拝観待ち?の方の列。
順番待ちなのか、単に説明聞いていただけなのか分かりませんが、見事に外国人観光客の方ばかりでした。いや~すっごいな、これ。
私は、先ほどの金堂と根本大塔が見える場所のベンチでしばし休憩。
4時間で出会った人の何十倍もの人間が視界に入ります。
古道歩きの静けさが、既に恋しい・・・
その後、私が向かった本日一番の目的地がこちら。
高野山霊宝館
毎回寺院巡りで時間いっぱいとなってしまい、行けず仕舞いだった霊宝館で、高野山内に残る貴重な文化財を鑑賞。
国宝・重要文化財の宝庫で、見応えありました。
帰りは、動力に頼って下山。
霊宝館前からバスに乗り、高野山駅へ。
そこからケーブルカーに乗り換え。極楽橋駅まではわずか5分。
極楽橋駅からは、特急「こうや」に乗って大阪へ。
駅で買ったお菓子をむさぼり食いながら、3年ぶりの高野山の旅は終了。
次はまた3年後か、それとももっと近いうちか。
お大師さんに呼ばれたら、また行きます。
おまけ
今回歩いたルート。(YAMAPアプリより。)
歩行距離13.7キロ。時間4時間20分。
私が参考にしていた京大坂道のマップでは、京大坂道ルートの歩行距離9.5キロとなっていました。
女人堂から檀上伽藍までの距離を差し引いても、3キロ近く多く歩いていることになるんですが・・・え?どういうこと?
今回の旅の参考HP
過去に歩いた高野山参詣道「高野山町石道」の記事はこちら。
【紀伊山地の霊場と参詣道】を始めとする、世界遺産の訪問済みリストはこちらにまとめています。