寒さにめっきり弱い私は、冬に活動するのが億劫になり引きこもりがちです。
冬ならではの景色を求める旅をしたいとは思いつつ、家でフリースの上にインナーダウンを肩掛けという謎の防寒スタイルでキムチ鍋食べて鼻水垂らしながら過ごす今日この頃。
栃木旅の2日目。この日は宇都宮北西部の大谷エリアへ。ずっと大谷(おおたに)って読んでたけど、まさかの「おおや」でした。大谷選手の読み方がこっちだったら、アメリカの野球解説者も「OOYA SA~N」って家主に賞賛送ってるみたいな解説になったことでしょう。
大谷は「大谷石」の産地として有名な場所。
「大谷石文化が息づくまち宇都宮」として日本遺産にも認定されていて、今回行った「大谷寺」や「大谷資料館」も構成資産に含まれています。
まずは坂東札所の大谷寺をご紹介。
第十九番 大谷寺
大谷寺へのアクセス
JR東北本線宇都宮駅からバスで約30分。(東武宇都宮駅前からはバス約25分)「大谷観音前」下車徒歩2分
宇都宮駅から資料館入口までの往復バス(920円)+大谷寺拝観料(500円)+大谷資料館入場料(800円)が含まれて1,850円。
(HPで検索すると過去の1日乗車券のチラシが出てくるので、これより安い金額になっていますが、拝観料等の値上がりもあってか2022年11月時点では上記価格でした。)
大谷寺の歴史
昔、この辺り一帯は岩が屏風のようになっており、その岩下から湧き出した川の中に、毒蛇が住んでいました。その毒蛇は、時折毒水を出すため動物や魚が死んでしまい、草木も枯れてしまっていました。また、人間も水に触れると病気になり、最悪の場合死に至りました。
あるとき東国を巡っていた弘法大師がこの里にたどり着き、人々が苦しんでいる話を聞いたのち、毒蛇の谷へ入り蛇退治を行いました。
大師が去ったのち、人々が谷の奥へ入り様子を見ると、高い岩山に彫られた光り輝く千手観音がありました。人々は大師の力に感謝し、観世音に帰依して仏教を信仰する者が増えました。これが大谷寺の始まりとされています。
出ました。全国あちらこちらに現れて困った人を不思議なパワーで助ける弘法大師伝説。
江戸時代初期には、徳川家康の長女である亀姫が、父親が日光に祀られたことから、中継所であるこの地の中興を援助しました。歴代の江戸輪王寺の法親王は、日光社参の折にここ大谷寺を宿泊所としたため、幕府の庇護も厚いお寺でした。
境内案内
バス停を降りて、数分で仁王門に到着。門前には広い駐車場があります。
何でこんな左寄りの写真かというと、右側に警備員さんが立っておられたので。
勝手に写真撮ったら申し訳ないと思って入らないように撮影したら、こうなった。
(でも、警備員さんも気を使ってくださって、だいぶ右端に寄ってくださってました。すいません。)
門をくぐると拝観受付所。受付済ませて境内に入ると目の前に本堂があるのですが、その本堂がとんでもないことになっています。
本堂
引いてみる。
本堂の屋根上が大きな岩に覆われています。もはや岩にめり込んでいるというか、岩が本堂を飲みこんでるというか。
宇都宮で2日連続食べた餃子に見えてきた。
本堂上だけではなく、境内全体が岩で囲われている感じ。
徳川家ゆかりを示す葵の御紋。
本堂内は洞窟になっています。そして岩壁にご本尊の大谷観音が彫られています。これが先ほどの大谷寺の歴史の中で出てきた千手観音。810年に弘法大師が彫ったものと伝わっています。
高さ約4メートル。凝灰岩の岩壁から浮き出るような形で彫られています。当時は、金箔と彩色が施された色鮮やかな仏像であったと考えられています。
前日に中禅寺で見た1本の木から彫り出した立木観音も凄かったけど、こちらも凄い。
さらに本堂左手に進むと、釈迦三尊・薬師三尊・阿弥陀三尊の9体の摩崖仏があります。これまた凄い。
前も書いたかもしれませんが、人は本当に凄いものを見たときは「凄い」美味しいもの食べたときは「美味しい」しか言えなくなるもんです。
これらの摩崖仏は、重要文化財にも指定されています。
本堂外の岩壁にも、五輪塔などが彫られています。
あちらの宝物館も拝観料に含まれているので、書いている間に見て行ってください。
と言われ、待ち時間つぶしがてら見に行くことに。
現在の本堂と脇堂は、摩崖仏保護のため昭和37年に建てられたのですが、その工事の際に、人骨や土器などが見つかり、摩崖仏があった洞窟は縄文時代の横穴式住居だったと考えられているそうです。なんと、1万1千年前の人骨が展示されています。「縄文最古の人骨」と書かれていました。
え?なんかしれっと「縄文最古」とか書いてあるけど、普通にすごくない?縄文時代は東北地方の遺跡群や土器については学びましたけど、最古の人骨ここ大谷にあったなんて全然知りませんでしたけど?
宝物館横には、弁天堂と庭園のような場所があります。
遠目からでも明らかに異質な白いニョロニョロ。
弘法大師に退治された毒蛇は、改心して白蛇となり弁財天にお仕えしているそうです。
参拝後に白蛇の頭をなでるとご利益があるということで、なでておきました。
宝物館横から振り返ると、何やらでっかい後ろ姿が見える。
御朱印帳を受け取って、大谷寺を出たあと道を渡って、この大きなお姿の正体を見に行きます。
平和観音
像高約27メートル。昭和23年から6年かけて彫られ、昭和31年に開眼した平和観音。
太平洋戦争の戦没者供養と世界平和を祈って彫られたそうです。
優しいお顔をされていますが、大きいゆえかなり迫力はあります。
この場所は大谷公園となっていて、全体がこれまた石で覆われたような場所。
日本遺産の構成資産でもある「天狗の投石」
岩壁の上にちょこんと乗っている石。天狗が投げて乗せたという伝説があるらしいです。
天狗、メジャーでも通じる肩の強さやね。
大谷寺利用案内
- 拝観料:大人500円 中学生200円 小学生100円
- 受付時間
4月~9月 8:30~16:30
10月~3月 9:00~16:30
(受付は20分前に終了)
- 休業日:木曜日(祝日は営業)12/26~31 www.ooyaji.jp
おまけ
弁天堂の横に、白蛇がもう1匹いたんだけど、もうね、発想が5歳児と言われても仕方ないけど、あれにしか見えないのよ、この巻き方。そんな発想が真っ先に思い浮かんだ私には、きっとご利益ないでしょう。